星野美智子

星野美智子/Michiko Hoshino

1934年東京生まれ。油絵画家として出発、ほぼ独学でリトグラフ技法に身につけ1970年代から繊細で瞑想性に満ちた黒白の濃淡を生かしアルゼンチンの作家・ルイス・ボルヘスからインスピレーションを得た独自の世界を80歳の今もエネルギッシュに展開し続ける。

1963年     東京芸術大学美術学部絵画科油絵専攻卒

1963年~1969年 油画発表(個展・毎日現代展等)

1972年     モノクロリトグラフ発表

1976年~2008年 国際版画ビエンナーレ、トリエンナーレ参加多数

1981年     精神の幾何学展 (東京都美術館)

1986年     変貌する時代のシンボル展 (大英博物館)

1987年     現代のイコン展 (埼玉県立近代美術館)

1990年     文化庁派遣芸術家在外研修員(ニューヨーク~ブエノスアイレスに滞在)

1991年     本の宇宙展 (栃木県立美術館)

1998年~1999年 現代日本美術展(クラコフ国立美術館~リュブリヤナ国立近代史博物館)

2000年~2001年 現代日本の版画家・北斎の孫達展 (スウエーデン・版画館)

版画作品

  • 磁場 Ⅰ,Ⅱ(Magnetic Image1,2)

    磁場 Ⅰ,Ⅱ(Magnetic Image1,2)
    リトグラフ(Lithography)1972年

  • 水平線A(Horizon A)

    水平線A(Horizon A)
    リトグラフ(Lithography)

  • チェンバロの為に(For Baroque play by Cembalo))

    チェンバロの為に
    (For Baroque play by Cembalo)
    リトグラフ(Lithography)1983年

  • 献花ボルヘス(Offering Rose-for Borges)

    献花ボルヘス
    (Offering Rose-for Borges)
    (Digital Print)2010年

  •  バロックの音楽のために(For the Baroque Music)

    バロックの音楽のために(For the Baroque Music)
    リトグラフ(Lithography)1983年

  • 記憶する薔薇−Ⅰ(Memorizing Rose 1)

    記憶する薔薇−Ⅰ(Memorizing Rose 1)
    ウオータレスリトグラフ(Waterless-Litho)2006年

  • 時間の鏡−溶解(Mirror of Time-Melted)

    時間の鏡−溶解(Mirror of Time-Melted)
    リトグラフ(Lithography)2001年

作品と思想

制作風景

東京都杉並区の現住所に生まれ、内務省官吏の父の転勤にしたがって全国を転校し疎開先で終戦を迎え杉並に戻り現在に至る。武蔵野の閑静な住宅街にある木造壁の洋館の、使い込まれたリト・プレス機が大きく場を占めている2階まで吹き抜けになった天井の高い仕事場で、ボルヘスの文学からインスピレーションを得て「記憶の人フネス」や「ボルヘスの鏡」「エル・アレフ」「バベルの図書館」「砂の本」などの作品を生み出してきた。

戦後、男女共学となった元男子高校の都立新宿高校に紅2点の女子学生として編入学。母親の希望で東京女子大学の英文科に進み全日本学生新聞連盟の学生運動にも関わったが画家志望が止み難く、東京芸術大学油画科に入学し直す。同級生には中林忠良(1937~)、野田哲也(1940~)がいる。卒業後しばらく油絵を制作・発表した後、ほぼ独学でリトグラフの技法を実地に身につけ1971年、石版画の制作を始める。「ウーマン・リブを主張し平等を要求するのは簡単だが、対等と認められるようになることは難しいということに気づいて、自分が一番好きで才能に自信のあった絵画を本業にしようと決心した」と語る。女性の社会人登山グループ「エーデルワイス・クラブ」の創立期から参加した行動派。

作品と版

栃木県立美術館特別研究員・小勝禮子氏は「星野が敢えて黒と白の明暗の世界を選び、現在に至るまでモノクロームに固執し続ける理由は、画面の表面にではなくその奥に内在するものへの思索を誘う黒の瞑想性が、星野の志向する表現に合致したためであろう」と語っている。

インタビュー

(2014年5月22日 星野先生アトリエにて)

対談

−「星野先生、今日はどうぞ宜しくお願い致します。」

星野「こちらこそどうぞ宜しくおねがいします。」

−「早速ですが、芸大ではほとんど版画をやっていらっしゃらないですよね。」

星野「そうなんですよ、油絵が好きだったので講習会で少しやっただけです。卒業して10年くらいはシロタ画廊での個展など油絵の作品ばかりでした。だからベテランの作家の中では版画をはじめたのは遅い方ですよ。」

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アトリエ風景

アトリエ
ローラーとインク

アトリエ訪問後記

先生のアトリエは1階と中二階、二階という構造となっている。その間に数段の階段があるのだが手すりはない。今年傘寿を迎える先生は、1階で幅50cmはあるローラーでリトグラフを刷り、中二階ではパソコンを駆使してデジタルプリントの制作や研究、国内外とメールのやり取りをされている。

私も作品の画像を送ってほしいと依頼すれば、大容量メール送信サービスを経由して、Photoshopデータで送ってくれる。やはり、この知的好奇心、パワーがないと作家活動は続けていけないのだろう。

記念撮影